2011年9月21日水曜日

 2日目、道中ではほとんど人に会わなかったんですが、車を止め、休憩をしていた時、1人おばあちゃんが犬を散歩していました。

 自分らを見つけ、むこうから挨拶。自分らも挨拶し、少し話しを聞くことができました。


 ひさびさに人に会ったのか分かりませんが、最初は笑顔だったんです。で、話の中で自分達は東京からきたこと。その理由を話したところ、笑顔がだんだん無くなってきました。


 多分、福島ナンバーではなく、他県のナンバーだったら、挨拶もしてこなかったでしょう。何故か。


 怪しいからです。


 それでもなんとか話をしようと、パトカー多いですねぇ。なんて話をふってみたんですが、おばあさん。

 「空き巣やらゴミ捨てる人が多いからねぇ~ひっきりなしだよ」


 刺さる言葉。これは地震も放射能も関係ない事であって、その為に警察がパトロールをしている。


 自分達は、テレビとか新聞とかいろんな事が書いてあってどれが本当なのか分からないんで実際に見来たんです。と福島に来た理由を言ったところ


 「テレビなんかはウソばっかりじゃ」


 ここに事実の全てが含まれていると思います。実際そこにいて、実際テレビなどを見て言う発言。非常に重い言葉。そしてまた、刺さる言葉。


 そう言い残して、足早に去っていきました。何故あのおばあちゃんは他の人と同様避難しなかったのか。避難するより、自分の家にいたいのでしょう。そして、愛犬の散歩をするのでしょう。


 たちあがれ!日本!とか、頑張れ!福島!なんて言葉が非常に薄く感じてしまう。気軽に言える言葉ではない。と思いました。そのおばあちゃんに、大変でしょうが、頑張ってください。なんて、遠くから来た余所者が果たして言えるでしょうか。少なくとも自分は言えません。


 がんばるのは、自分だ。と。何も話さずとも、微力でも、被災地の為に何かをする。これが大事なんだと。言葉だけなら誰でも言える。でもそれでは、被災者の腹は膨れない。


 福島から郡山に帰る道すがら、高速道路の補修をしている人達を見ました。土曜日、しかも雨が降っていました。安全に被災地に物を流通させる為、それを運ぶ人達。店には、自衛隊や警察への感謝の言葉が書かれた看板。

 全てそれは、繋がっていて、既にもう、皆が頑張っている。そこに薄っぺらな応援なんて不必要だと思いました。


 そして、それを見て、また福島が好きになり、収束し、地元産のお米やお肉が食べられるようになったらまた来よう。どんなに高くても、仙台、米沢、福島牛を食おうぜ。と2人話した帰路。