2012年2月26日日曜日

もしもぼくが死んだら -森田動子-

たとえば ぼくが死んだら

そっと忘れてほしい

淋しい時は ぼくの好きな

菜の花畑で泣いてくれ



たとえば 眠れぬ夜は

暗い海辺の窓から

ぼくの名前を 風にのせて

そっと呼んでくれ



たとえば 雨にうたれて

杏子の花が散っている

故郷をすてた ぼくが上着の

衿を立てて歩いている



たとえば マッチをすっては

悲しみをもやす この ぼくの

涙もろい 想いは 何だろう



たとえば ぼくが死んだら

そっと忘れてほしい

淋しい時は

ぼくの好きな 菜の花畑で泣いてくれ

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